平成26年度冬学期 総合科目E 

「量子と光−究極のミクロの世界を探る−」

金曜5限 @5号館531教室

代表教員:鳥井 寿夫(ytorii@phys.c.u-tokyo.ac.jp

(平成25年度のページはこちら

<講義概要>

「光の正体は何か?」 現代物理学の礎である量子論と相対論は、この問いに端を発して約100年前に誕生した。そして量子論と相対性は、「場」というものを量子的に扱う「場の量子論」によって融合され、この場の量子論が、現在、私たちが自然界を記述する際の言葉となっている。光に限らず全ての粒子は、波(場)と粒子の性質を合わせ持つ。近年、計測技術の発展により個々の光子や原子を操作することが可能となり、これまで思考実験でしかなかった実験(例えばシュレーディンガーの猫状態の生成)が行えるようになってきた。2012年のノーベル賞はまさしくそのような技術の開発に対して贈られた。2012年はまた、ヒッグス粒子とみられる新粒子の発見で世界中が沸いた年でもあった。ヒッグス粒子は、場の量子論を基に築かれた「標準模型」で存在が予言されていた最後の素粒子である。しかしながら、標準模型では説明のつかない謎(暗黒物質、暗黒エネルギー、消えた反物質など)は数多く残されている。我々はまだ究極のミクロの理論を知らない。本講義では、駒場で究極のミクロ世界を探求する5人の物理教員(実験家および理論家)が、「量子とは何か?」という基本的な問いかけから「標準理論を越える理論」まで、演示実験も適宜交えながら13回にわたって丁寧に解説する(各教員の詳しい講義概要は、UTask-Webを参照のこと)。人類が到達した驚愕すべき自然観を十分味わって欲しい。

 

<成績評価>

5名の教員から2を選び、レポート問題を提出する。(3名以上選んでもよい。その場合は、評価の高かった2名分のレポートで成績をつける。)

【1年生】

提出先:教務課(アドミニ棟)のレポートボックス。

締切:218日(木)

2年生】

29日(月)までに鳥井(16号館224A)まで直接持参。事前にメール(ytorii@phys.c.u-tokyo.ac.jp)すること。

<講義計画>

日付

担当教員

内容

講義資料・レポート問題

1

10/10

鳥井寿夫

ガイダンス、光の正体は何か?

講義スライド

2

10/17

鳥井寿夫

レーザー冷却とボース・アインシュタイン凝縮

講義スライド

3

10/24

鳥井寿夫

ボース・アインシュタイン凝縮(つづき)

特殊相対性理論のエッセンス

講義スライド1(BEC

講義スライド2(相対論)

4

10/31

沙川貴大

量子力学における重ね合わせ

 

5

11/7

沙川貴大

EPRパラドクス

 

6

11/14

沙川貴大

ベルの不等式

レポート問題

7

11/28

加藤光裕

素粒子と場の量子論

 

8

12/5

加藤光裕

超弦理論の挑戦

レポート問題

9

12/12

松田恭幸

標準理論の限界をミュオニウム原子で探る

講義スライド

10

12/19

松田恭幸

宇宙進化の謎を反水素原子で探る

講義スライド

レポート問題

11

1/9

鳥井寿夫

量子消去実験、霧箱による素粒子の観測

レポート問題

12

1/23

久我隆弘

もっと光を!

講義スライド

13

1/27()

久我隆弘

1個光を!

講義スライド(含レポート問題)